川口和之さんを偲んで

240721川口和之講座写真2024年7月 写真好学研究所 公開講座「スキャニング講座」より

写真好学研究所の公開講座として、2024年7月に「スキャニング講座」をご担当いただいた兵庫県在住の写真家 川口和之さんが、2026年1月2日にご逝去されました。

川口さんとの出会いは、大阪の gallery176 にて、私が写真展「Local public bath “Sento”」を開催したときにさかのぼります。初めてお会いしたときは、正直なところ少し怖いというより、こちらが緊張する印象がありました。けれど、ネガをスキャンしてB0サイズに出力した写真を、目をこらしてじっくりと見つめながら「これ、どうやってスキャンと出力しとるんや」と声をかけてくださったことが、その後のお付き合いの始まりになりました。

それからも、私の運営する gallery0369 の展示に足を運んでいただいたり、こちらが photographers’gallery(フォトグラファーズギャラリー/東京・新宿) を訪ねたりと、折々に言葉を交わしてきました。また 大阪で開催された HASSELBLAD H6D(1億画素クラス)のデモ の場や、姫路で開催されている PHOTO STREETでもお会いしました。そのたびに川口さんは、最新の写真集をめくりながら「これ、どうや」と見せてくださり、私も購入し、テクニカルな内容も含めて多くの示唆をいただきました。

まだまだ「まち」の写真の話も、技術の話も、これから先に聞かせてもらうつもりで、展示や講座の機会をこちらが勝手に思い描いていたところへ、あまりにも急なお知らせでした。

【写真B】
プリントを前に、スキャニングの精度と写真の読み取りについて意見を交わす時間

川口さんの講座は、スキャニングという技術を学ぶ場であると同時に、写真原板とどのように向き合い、その情報をいかに受け取り、次の時代へと手渡していくのかを、静かに、しかし深く問い直す時間でもありました。

数値や設定の話に終始するのではなく、プリントを前に、目と身体を使って写真を読み取ること。川口さんが示してくださったのは、技術を支える「態度」そのものだったように思います。

研究所が大切にしている「学び」とは、知識の獲得ではなく、考え続ける姿勢を引き受けることです。川口さんの講座は、まさにその姿勢を参加者一人ひとりに手渡してくれるものでした。

【写真C】
講座の合間の一場面(2024年7月)

個人的には、講座の合間、はちまきをして作業に向き合う川口さんの姿に、いつものクールな印象とは異なる、ひときわ真摯な熱量を感じさせてもらいました。
準備段階から当日に至るまで、終始変わらぬ誠実さでこの場に向き合ってくださったことが、今も強く心に残っています。学びの時間を共につくっていただいたことに、深い感謝の念を抱いています。

研究所一同、川口和之さんからいただいた多くの示唆と学びに感謝するとともに、ここに謹んで哀悼の意を表します。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

写真好学研究所
所長 松原 豊

※写真好学研究所のwebページより転載


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