視覚障害と美術作品鑑賞

201009 雨の三重県立美術館

いつのまにか10月もあと2日。三重県津市美里町も広葉樹の葉が少しずつ秋色になってきています。気温も陽が暮れるとぐっと低くなってきたので暖房や炬燵を入れはじめました。そして10月最終日の明日は満月。天気も良さそうなので澄み渡った夜空に美しい満月を見せてもらえることでしょう。空気が澄めば夜の気温は低くなりそうです。

先日「目が見えない、見えにくい人(視覚障害者のかたたち)」に美術作品に触れたり話しを聞いたりして作品鑑賞をする現場の記録撮影を担当する機会がありました。学芸員の方は細やかな解説の言葉と手触りで感じてもらえる素材などを準備して少しでも視覚以外の情報で作品のイメージを掴んでもらうように工夫されていました。立体作品の場合は作品を直接手で触れていました。学芸員の方は「どう伝えるか?」ということに随分考えて工夫されていて鑑賞者に伝えていく言葉にも「見えていないこと」を前提としたわかりやすくて頭の中でイメージしやすい言葉を用いて作品解説を行われていました。(絵画を鑑賞する場合でしたら作品そのものを手で触ってもらえないので準備した教材を用いて絵画のキャンバス地の様子や絵の具の凸凹した感じを手触りで伝えていました)

そのような現場でしたが、全盲の方々には実際にはどんなイメージが頭の中に浮かんでいるのだろうか?ということがすごく気になっていました。今までに一度も見たり聞いたりしたことが無いと仮定をしたとして、言葉で解説してもらったことで空想できるイメージを想像してみました。目をつぶりながら想像してみるとそのときに伝えられた「言葉」というものの存在の大きさに気づいたりします。「見えるからわかる」ではなくて「見えないからどう伝えるか」ということになると思います。その部分の想像力があるのかどうか?自分にはあるのか?ないのか?自問自答してみます。
そのことは当然自分の作品を鑑賞してもらうことにも繋がってきます。例えば目の見えない人が写真展を見に来たときに、ことばで伝わるようにしているだろうか?目で見えているさまざまな情報を言葉にして分析することはかなり重要なことだと気づかせてもらう機会でもありました。想像することの大切さに気づくことにもなりました。文化の異なる海外で作品を見せていくときにも感じたことですが、難しい言葉を並べるのではなく、伝わりやすい言葉を探しながら解説していくことがとても大切なことであると改めて認識させてもらいました。そのときは「これくらいはわかっているだろう。」と勝手な解釈をしないことも重要なことだと思いました。

今日からLocal public bath “Sento”三重展の最終週がはじまります。展示された写真を前にしてそんなことも考えて見たいと思います。

松原豊写真展/Local public bath “Sento”
2020三重展
開催場所 gallery0369 〒514-2113 三重県津市美里町三郷369番地 電話059-2749-3703
開催期間 2020年10月23日~25日/10月30日~11月1日 13時~18時
お問い合わせ muranokioku@gmail.com
松原の在廊日は最終日11月1日となります。

Local public bath “Sento”三重展のあとは大阪展として大阪豊中市gallery176に2020年12月に巡回致します。こちらもよろしくお願い致します。

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